できるシステムエンジニアは、質問力で差をつける

黙っていては情報は集まらない

システムエンジニアは、システム開発などにおいて黙々と作業に没頭していればよいといわけではありません。もちろん経験の浅いうちは、そのような仕事が中心になりますが、そのうちシステム設計や構築を任されるようになれば、クライアントから直接その要望を聞き取って、双方にとって満足の行くような提案をしなければなりません。
またプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャになれば、プロジェクトのスケジュールを管理し、各工程を担当する専門スタッフがスムーズに作業を行うことが出来るように橋渡し役にもなる必要があります。このようにシステムエンジニアが、プロジェクトにおいて主導的立場に立つことが求められる場合には、情報が自分に集まるように工夫しなければなりません。しかし黙っていては情報は集まりません。自ら正しい相手に対して正しい質問を行うテクニックが、質問力です。

正しい相手と正しい質問

これは当たり前のようですが、実際の現場では難しい面も少なくありません。そもそもプロジェクトにおいて、納期も予算も人も思いのままになるということはないでしょう。ということは何が大切で、どれをどれよりも優先させなければならないのか、という判断が出来なければなりません。そしてその判断に沿って、融通を利かせることが出来るものを具体的に工夫して、クライアントにとっても満足の行く提案に仕上げなければなりません。もちろんその提案の仕方も、クライアントに分かるように説明できなければなりませんが、何よりも最初にクライアントの要望を的確に聞き取る必要があります。しかし往々にしてクライアント自身も要望が明確になっておらず、肝心なところが抜け落ちていることもあるのです。
ここで会話とは相手に対する贈り物であり、質問とは相手に対する要求である点に注意しましょう。まずはクライアントにせよ、プロジェクトのチームメンバーにせよ、正しい相手を選んで質問しなければ、望む情報が得られないばかりか、混乱させてしまいます。そして質問をする時には、相手が答えやすいように配慮する必要があります。ついつい自分の描いたストーリーに強引に引き込もうとしがちですが、単純にYesかNoの答えを求めるのではなく、オープンに相手が答えられるように心掛けましょう。
このような質問は、相手の思考を促します。クライアントが口にする要望を100%受け入れることが、クライアントの真の望みに叶うとは限りません。注意深く妥協点を探りながら、より良い解を求めてあれこれと考え抜くための材料を集める必要があるのです。そこから思いがけぬ方法で解決策がみつかるのかもしれません。それはチームメンバーとの会話においても同様です。